花岡稲荷ときつねの嫁入り

花岡の上市にある法静寺の住職は、徳の高い人として知られ、人びとにしたわれていた。享保九年(1724)のある日、徳山へ出かけたが、帰りは日が暮れてしまった。遠石から久米に出て、坂を越えると、寺のある上市はすぐそこであった。ここまで来て、住職は自分の手に数珠がないのに気づいた。探してみたが、道は暗く遂に発見できなかった。
仕方なく寺に帰って床に就いたが、失った数珠のことが気になり、なかなか寝つかれなかった。それでもいつの間にか、うとうとしていた。
住職の枕許へ何かが立って
「私たちは、わけあってしらむが森に死んでいる夫婦の白キツネです。今晩、数珠を届けに参りました。その代わり、私たちの遺体を人様と同じように、このお寺に引きとって下さい。そうして下されば、お寺や里の人びとを災難から守ることをお約束します」
という声を聞いて目が覚めた。驚いたことに無くした筈の数珠が枕許にあるではないか。住職は、すぐに白キツネの遺体を引きとって、人間同様に手厚く葬り、供養をしてやった。それ以後、失せ物、たずね物が見つかるという霊験があらたかで、この寺に参る人が増えていったという。
この夫婦キツネは、福徳稲荷として法静寺の境内に祭られ、毎年十一月三日の「稲穂祭」には遠近より多くの参詣者があり、戦後「きつねの嫁入り」行列が行われるようになって、更に有名になった。この行列に参加すると良縁が得られるといわれ、若い未婚女性の人気を集めている。また春の初午祭にも多くの参拝者がある。
2022年 「第73回」 ~11月3日~
「花岡福徳稲荷社稲穂祭きつねの嫁入り(第73回)」は、3年ぶりの開催が決定しました。
2022年11月3日、爽やかな秋晴れのもと下松の奇祭、福徳稲穂祭り「きつねの嫁入り」が、3年ぶりに開催されました。沿道には、きつねの新郎新婦の華やかな姿を一目見ようと見物客やカメラマンなど多くの人でにぎわいました。また、下松市観光ボランティアガイドの会は、花岡八幡宮の無料ガイドを実施し、普段は一般公開されていない日本一の「破邪の御太刀」や「絵馬」など見学いただき、たくさんの方々に喜んでいただけました。
■日時 | 2023年11月3日(金・祝) |
■場所 | 旧山陽道花岡界隈(山口県下松市花岡地区) |
■内容 | 五穀豊穣感謝、きつねの嫁入り |
■スケジュール | 未定 ※随時更新 |
■アクセス | 花岡駅から徒歩で10分 |
■お問合せ | 花岡福徳稲荷社 TEL 0833-43-4500 |